子育てに絵本をⅡ 親子で楽しめるおすすめの絵本屋さんvol. 3「クレヨンハウス」
「子育てに絵本を!」のコラムでは、絵本の持つ特別な力、そして、その魅力を親子で一緒に楽しむ時間について、そして、「子育てに絵本をⅡ」では、休日に親子でお出かけできる都内の絵本屋さんを3件シリーズでご紹介しています。
※都内でおすすめの絵本屋さん1店目「ブックハウスカフェ」はこちら。
※都内でおすすめの絵本屋さん2店目「教文館ナルニア国」はこちら。
今回は、親子で楽しめる都内でおすすめの絵本屋さん3件目。
絵本を総合的に楽しめる場所と言えば、ここ!「クレヨンハウス」です。
目次
ロングセラーの名作はもちろん、最新の絵本から、海外の絵本まで、絵本の品ぞろえはもちろんのこと、子どもが安心して遊べるおもちゃ、あかちゃん&ママに心地のよいオーガニックコットン、素肌に嬉しいオーガニックコスメ、そして、オーガニックフードを用いたレストランと、朝から夕方まで丸1日、家族で楽しめる場所!
そんな絵本のテーマパークのようなクレヨンハウスで「子どもの本事業部サブチーフ」として店舗での接客から、本の選書にまで関わる馬場里菜さん(以下、馬場さん)に「クレヨンハウス」の魅力についてお話を伺って参りました。
海外のように座り読みができる、子どもの本の専門店
馬場さん:クレヨンハウスも1976年の創業より43年になり、自分が子どもの頃に来ていたけれど、今は親となり自身の子どもと一緒に来ている、というご家庭も増えていて、大変ありがたいです。
クレヨンハウス 子どもの本事業部サブチーフ 馬場 里菜さん
創業はクレヨンハウス主宰者の落合恵子が、文化放送でアナウンサーをしていたころ取材で海外の書店を回っていた時に、自由に子どもが本を開いて床に座っていたり、大人と子どもが絵本を開きながら議論をしたりしている様子を見たのがきっかけ。その頃の日本の書店って、頑固なおじさんがお店に立っていて、立ち読みしていたらはたきではたかれるみたいな本屋さんが多くて、海外で見たような自由な本屋さんって日本にないな、ないなら自分で作っちゃおうというところから始まったんです。
その当時は「絵本なんて1回読んだら買っていかないよ」という反対の声も多かったようなのですが、「子どもは何回も何回も好きな絵本を読んでくれるから、1回読んだから買わなくなるということはない」と、子どものことを信じて、座り読みができる子どもの本の専門店を始めたんです。中央にある木のテーブルとイスは創業当時からあるもので、座って読むスペースを設けて、親子でふらっと来て、読みたい本を読めるだけ読める場所になれたらな、と。
女性や子どもから文化を創る
馬場さん:女性や子どもなど、社会の中で立場の弱い“小さな声と呼ばれる人たちの立場に立ってそこから文化を創っていく”をコンセプトとし、女性の権利についての本を置き、オーガニックレストランをつくり、木製で安全なおもちゃを置き、オーガニックコットンを置く・・・、とお店が広がっていきました。
旬の有機農産物がたっぷりのオーガニックレストラン
世界中から集めた安全に遊べる木製のおもちゃ
オーガニックコットンでできたぬいぐるみ
絵本を読んで、レストランでご飯を食べて、おもちゃで遊んで、ママはコスメを見て、手作りケーキ屋さん「ケーキおばさん」でお茶して、また絵本を見て、と一日過ごしていただける方も多く、とても嬉しいです。絵本、食べ物、身に着けるもの等、生活に必要なものを、地球にやさしい、平和につながる、という視点で選んでおり、ここからそのような文化を発信していけたらいいなと願っています。
【毎月開催】子どもと作家を結ぶ講演・サイン会
馬場さん:連続講座「子どもの本の学校」というイベントは、毎月作家さんをお呼びしてお話をいただいている、講演会とサイン会のイベントです。通常遠い関係である作家と読者、ここを近づけちゃおう!という発想で始まったイベントです。作家さんの作品への想いや、子どもを取り巻く環境についての考え、それをどう作品に表現しているか、などをお話しいただいています。クレヨンハウス主宰の落合恵子も毎年登壇しています。(「子どもの本の学校」スケジュールはこちら)
子どもの本は毎月300冊くらい出版されています。どの絵本をお店に置こうっていうのはすごく悩むところです。クレヨンハウスでは毎月「新刊会議」を行っていて、子どもの本売り場の全スタッフ、ブッククラブのスタッフ、編集部のスタッフなど、メンバー全員で全作品に目を通し、お店に置く本を選んでいます。これだけロングセラーが多い絵本の世界で、新しい絵本が入っていくのってとても難しい。でも、新しい絵本や作家さんが出てこないと、絵本の業界も先細りになってしまうので、新しい作家さんの発掘も含めて新刊会議を実施しています。
年齢別のおススメ絵本!シューフィッターならぬ、“絵本フィッター”が選書
馬場さん:クレヨンハウスには「どんな本を選んだらいいのかな?」ってお困りの時にお手伝いさせていただけるように“絵本フィッター”というスタッフが常駐しています。ネーミングは“シューフィッター”からきていて、一人ひとりに合わせた絵本をお選びさせていただくということで、この名前がついています。一人目のお子さんだったりすると、3か月の赤ちゃんのお母さんはお母さん歴も3か月。絵本もどんなのを選べばいいかわからないという方も多いようで、絵本選びのお手伝いをさせていただいています。
今回は、この記事のテーマ「子育てに絵本を」に合わせて、年齢別に「親子で楽しめるおすすめ絵本」を選びました。
0~1歳児向け:「おやすみ、ぼく」
0歳~1歳のお子さん向けに選んだのは「おやすみ、ぼく」(文: アンドリュー・ダッド 絵: エマ・クエイ 訳: 落合 恵子 出版社: クレヨンハウス )。
寝る前におすすめの1冊です。自分のからだひとつひとつに「おやすみ、今日もありがとう。」と語りかけていく絵本で、からだに触れあいながら読んでいただけるといいなと思います。介護をされているお母さまに読まれたというお客様もいらっしゃって、絵本って子どもだけのためのものじゃないんだな、と改めて感じています。最近、早く寝られる絵本も流行っているのですが、安心感が豊かな眠りにつながると思うので、おやすみ前の親子のスキンシップを楽しんでいただけたらな、と選びました。
▼絵本の概要・レビュー
http://www.crayonhouse.co.jp/shop/g/g9784861011481/
2~3歳児向け:「しろくまのパンツ」
2歳~3歳くらいのお子さんには「しろくまのパンツ」(作: ツペラ ツペラ(tupera tupera) 出版社: ブロンズ新社 )。
きっとみなさんご存じかもしれないんですが、やっぱりtupera tuperaさんの発想って独特で、すごくおもしろくて、子どもたちも大好きな絵本なので。お父さん、お母さんにお勧めするとみなさん「なにこれ!おもしろい!」とおっしゃって、大人が楽しんでいるとその気持ちが子どもにも伝わって、楽しさが倍増すると思うので、親子で絵本をみて笑いあう時間っていいなと思って選びました。
▼絵本の概要・レビュー
http://www.crayonhouse.co.jp/shop/g/g9784893095473/
4~6歳児向け「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」
4歳~6歳の子どもに選んだのは、「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん(作・絵: 長谷川 義史 出版社: BL出版 )」。
人気絵本作家長谷川義史さんのデビュー作!自分のお父さんのお父さんはおじいちゃんだよね、じゃあ、おじいちゃんのお父さんは?ひいおじいちゃんだよ、ってどんどんどんどんさかのぼっていって、“ひいひいひい”が増えていくっていう。子どもたちはもう楽しくって仕方がないみたいで、お父さんが読んだりなんかすると、もうお父さんへとへとになったりするんですけど、読み終わったら子どもは「もう1回!」っていう本です。子どもたちの「自分はどこからきたのかな?」という考える題材と、ユーモアとがいいバランスで、おすすめです。
▼絵本の概要・レビュー
http://www.crayonhouse.co.jp/shop/g/g9784892387708/
大人の絵本の読み方と子どもの絵本の読み方って全く異なっているなと感じています。子どもの方が絵本の読み方を断然よく知っていて、何度でも何度でも同じ絵本を読みながら、予測した内容と同じで納得したり、はたまた、目まぐるしい成長の中で、自分の感じ方が変化したり、見るポイントが変わって新しい発見をしたり。子どもたちの絵本の楽しみ方を大人も一緒に学ぶように読めたらいいなと思います。
絵本はどの絵本を読むかも大事なんですが、読んでもらうという体験を積み重ねることが何より大切です。読んでもらった体験って子どもたちの心にずっと残っていると思うので、親子の絵本の時間を大切にしていただけたらな、と思います。
店名 | クレヨンハウス 東京店 |
所在地 | 東京都港区北青山3-8-15 |
営業時間 | ■1~3階 平日11:00~19:00 土・日・祝日10:30~19:00 ■野菜市場 10:00~20:00 ■レストラン広場 平日 11:00~(L.O 21:30) 土日祝 10:30~(L.O 21:30) |
アクセス | 地下鉄「表参道」駅(A1出口)から徒歩5分 |
URL | http://www.crayonhouse.co.jp/shop/c/c |
絵本の思い出は一生の宝物
わが子が0歳のときから、クレヨンハウスに通っています。クレヨンハウスに出かけ、入り口に置かれているたくさんのベビーカーを見て、子どもと絵本を楽しみたい家族がたくさんいることに力をもらいました。
クレヨンハウスの大きな机に座り、じっくりと絵本を選び、2階でおもちゃを選び、最後は地下でランチ。1日絵本の世界で楽しめる場所です。今は子どもも大きくなりましたが、それでも絵本の新刊を見渡して、3階で大人の書籍を、2階でおもちゃを選び、地下でランチ。今も通っている大好きな場所です。
保育士向けの研修のひとこま。「子どもの頃に読んでもらって、今も思い出に残っている絵本はありますか?」と質問しました。たくさん手があがります。「子どもの頃の絵本を読んでもらった思い出が、今の私を支えてくれています」絵本の思い出を語る保育士さんたちの表情が輝いています。
一生の宝物を、お子さんたちに手渡すのが、絵本よみ。ぜひ今の時期にお楽しみください。