【靴のお手入れ】キレイに履けてる?働き女子の 「あるある」を解決する方法
きちんと感のある仕事服を着ていても、靴が汚れていると全体が締まらず残念な印象に…。
革製品の修理・クリーニングのプロに、働き女子の靴にまつわる「残念なあるある」を解決する方法を教えてもらいました。
目次
意外と目立つ「後ろ姿」とキレイに見えるポイント
普段は靴を上から見ることがほとんどなので、汚れやキズなど見逃しがちですが、外では駅の階段、エスカレーター、会社では来客の案内など意外とみられている後ろ姿。
歩く時に気をつけていても、道路のちょっとした溝や、段差、階段や側溝の網など、ふとしたときに限ってガリッとキズつけてしまったり、いつの間にか汚れてしまっているということはよくあること。
自分からみて問題なさそうでも、後ろから見るとこんな状態になっていること、よく見られます。
レディース靴に多い「残念なあるある」はこれ!
・ヒールのゴムがすり減っている
・カツカツと歩くたびに金属音がする
・ヒールにキズがついて革が削れている
・かかとが擦れて色が剥げている/汚れている
・つま先の擦れ
これらの残念ポイントをケアすると、見た目がグンと良くなるのは当然ですが、靴自体も長持ちさせることができます。
トラブル別の対策
①ヒールのゴムがすり減っている/金属音がする
ネット通販などで交換用のパーツは売っていますが、自分でやるには難しい作業。釘を抜いたり力も必要で、ケガや修理が余計に難しくなる恐れもあります。自分で何とかしようとせずに、プロに任せた方が安心です。
カツカツ金属音がするのは、ゴムが取れた状態、または、すり減って釘の部分がむき出しになってしまった状態です。そうすると、ヒール本体が削れてダメージを受けるだけでなく、修理の際に削れたヒールをさらに削らないといけなくなるため、ヒールの高さが少し低くなり、靴全体のバランスも少しずつ崩れていってしまいます。
靴を長持ちさせるには、ゴムがなくなる前に交換すると、ヒールへのダメージが少なく修理ができます。
ピンヒールでないタイプのかかとも早めの修理がおススメ。
ローファーやおじ靴などに多いこのタイプのかかとは、靴底から出っ張った部分全体を一緒くたにして捉えがちですが、地面と設置する一番底の薄い一層の減り具合を注意してみてみましょう。ゴムが完全になくならないうちに修理すれば、見た目もキレイに仕上がり、修理時間は短く、費用も安くなります。
ゴムがついていない場合は、キレイなうちに修理店でつけてもらうと、かかと本体を保護でき、滑り止めにもなります。
②ヒール・かかとにキズ/革が削れている
軽いキズの場合は、革の種類にあったお手入れグッズで目立たないようにすることができます。革が削れてヒール本体の地(プラスチック)が見えている場合は、専門店で修理するのが正解です。
【スムース革の場合】
写真のようにヒールの地が見えていない場合は、靴クリームで目立たなくなります。
(1)ヒールの色に合った靴クリームを選ぶ
(2)靴クリームをつける
(3)ブラシで磨く
(4)コットンまたはストッキングでツヤを出す
【スエードの場合】
専門店にお願いするのが確実ですが、小さな破れを応急処置したい場合は革を伸ばしてブラッシングします。
(1)革を引っ張るように伸ばす
スプーンの柄などを使って上から下に押し付けながら、革を引っ張るように伸ばす。この時、ごく少量の接着剤をつけて、剥がれた部分をくっつける。接着剤が多いと起毛について、乾くと塊になって余計に目立ってしまうので注意。
(2)ブラッシングする
【白系・ベージュ系の場合】
白系・ベージュなどの薄い色の革の場合、汚れであれば革用の汚れ落としでキレイになりますが、擦れて色が落ちてしまっている場合は、靴クリームだけでは色が復活しにくいです。それは、靴クリームの白色は、ほとんど色がなく透明に近いから。色が擦れてしまった場合は、プロにお任せして復活させましょう。
白や淡い色の靴は、普段のお手入れを特に念入りに行いたいですね。
専門店にお願いすると、どんなことをしてくれるの?
仕事服に合わせやすい、定番の濃茶のパンプスを頼んでみました。
ヘビロテでガンガン履いているので、かかともつま先も恥ずかしい有様に…。
歩く時にぶつけたり、階段や、オフィスのイスの足にぶつけていたり?で、いつの間にか色が剥げていました。
足を引きずって歩いているのか、つま先もキズがついて色が取れてしまっています。
自分の足に合っていて歩きやすいので、まだまだ活躍してほしいスタメンなパンプス、こちらをプロに頼んでみました。
<お願いした専門店>
靴専科 赤坂店
東京都港区赤坂7-9-4 梅沢ビル1F
https://www.kutsusenka.com/shop/detail/AKASAKA/
①クリーニング+色の補修
「擦れて色がとれた」「かかとのゴムが減った」このような状態になるころには、土埃やカビなどの汚れ以外にも、足裏の皮脂汚れや汗が蓄積しているため、クリーニングが必要な状態になっていることがほとんどだそう。靴のお手入れは、お肌のスキンケアと似たことが多い。汚れがついたまま、色を付けるのは、顔を洗わずにお化粧をするようなものだとか。
色の補修をする前に、まずキレイに洗浄してくれました。
ブラシで埃など汚れを落とした後、靴の外側、内側、靴底など全体をスポンジやブラシで洗っていきます。ひとことに「革靴」といえど、牛革、合皮、羊、豚など種類や、加工の仕方も様々。素材に合わせた洗剤を選び、シミや色落ちなどしないように洗い方も工夫しているそうです。
洗剤で汚れを落としたら、「オゾン水」ですすぎます。オゾン水の殺菌効果は塩素の約7倍といわれています。医療器具や野菜の洗浄などにも使用されていますが、オゾン水で洗うことで、靴についた特有の嫌な臭いに対して消臭や除菌効果があるそう。
オゾン水で洗った後は、革に栄養分を与える美容液に浸します。
水分をふき取ったら、オゾン発生装置のついた乾燥機に入れて乾かします。これでさらに消臭・除菌をしながら、革がかたくならないように温度管理して乾かしていきます。
乾いたら色の補修に入ります。もとの革の色にあわせて補色剤を作ります。
複数の色を混ぜ合わせていきます。自然に馴染む色にするのは、これこそ職人ワザ。
刷毛で塗っていきます。ムラにならないように薄く丁寧に、重ねて塗っていきます。
つま先 Before
つま先 After
擦れて毛羽立っていた表面も、なめらかにつるんとキレイになりました。もとの色と馴染んでいて新品みたいです!
②ヒールのゴム・革の交換
ヒールの巻き革は、「気にならなければ色の補修だけでもまだしばらく大丈夫ですよ」とお店のスタッフさん。今回はせっかくなので、巻き革の交換を体験してみました。
おもむろに革の束を持ってきたスタッフさん。「こちらのパンプスの色には、この茶色ですね」と交換する革を選んでくれました。
サンプルの革は結構分厚いけど、ブサイクにならないかなと心配でしたが、革をすいて薄く加工してからつけるそうです。良かった!
インソールをはがしていくと、ヒールを固定する金属のパーツが出てきました。大きいネジが中央に、その周囲に小さなネジがついています。「メーカーなどによって、ネジの数が違います。ネジ1本だけで支えるデザインのものもあるんです。」デザイン優先か、履きやすさや丈夫さを優先か。。。うーん。靴選びに新たな視点が加わりました。
ネジをはずして、ヒールのゴムやかかと本体を外します。
分解したパーツはこんな感じ。かかと本体の革も取り外して磨いてくれました。
薄くすいた革の接着面を機械で削り
接着剤でヒール本体に貼り付けていきます。
貼り付け完了。めちゃキレイ!
あとは、ヒールのゴムを取り付けて完成!
③靴磨き
クリーニング、修理の全工程が終わったら、仕上げの靴磨きです。
靴の色に合う靴クリームを選びます。「茶色はたくさん色の種類がありますが、靴に近い色のうち、ワントーン薄い色を選ぶと失敗がないですよ」とスタッフさん。濃い色を選んでしまうと、色が変わったりムラになるようです。
ブラシやコットンでツヤが出るように磨いていきます。
全工程、完了しました!
違いは一目瞭然!こんな新品みたいになるなんて、またしばらく活躍してくれそうです。
まとめ
キズや汚れがついている場所をチェックすると、普段の歩き方やお手入れも気にするようになりました。お気に入りの靴、履きなれた靴をキレイに履けると気分も上がりますよね。そんな靴と長く付き合うために、ぜひお手入れ方法見直してみてください。