花粉対策は「ウェット掃除」が新常識
春になると吹き荒れる花粉や黄砂。お困りの方は多いのではないでしょうか。鼻水が出たり、目が痒くなってしまったりと花粉や黄砂とアレルギーには、関係があると言われています。
目次
そこで、今回はこの花粉・黄砂の対策とお掃除についてご紹介いたします。乾いた汚れは乾いたまま取り除くのが一般的ですが、花粉や黄砂は人の動きで空気中に舞い上がるため、湿らせて掃除する「ウェット掃除」がおススメです。
お家の中で花粉や黄砂の多い場所
花粉や黄砂を家の中から排除するには、侵入経路をおさえると効果的です。
【玄関】
花粉や黄砂のお掃除の前に、まずはどんなところに多く潜んでいるのかを確認しましょう。
次の3点は重点的にチェックしてみてください。
侵入経路をおさえる
毎日出入りする玄関は間口も大きく、花粉や黄砂が入り込みやすい場所です。外出して帰ってくると、目には見えない花粉や黄砂が体中に沢山付着しています。一番やってはいけないのが、部屋の中に入ってからコートや帽子等を脱ぐこと。これでは付着していた花粉や黄砂を家中に飛散してしまいます。
家に帰ったらすぐに玄関に入らず、まずは外でコートや帽子を振って花粉を払ってから、脱衣所に向かい、部屋着に着替えるように心がけましょう。
網戸・窓サッシ
春になり暖かくなると、窓を開けたくなりますよね。天気の良い日に窓を見てみると、冬の間についた雨や雪で汚れていることがあります。これは窓だけでなく網戸も同様に汚れており、そのままにしておくと黄砂や花粉を室内に侵入させてしまうことにもなりかねません。黄砂や花粉の侵入を防ぐためにも、春先には窓と網戸のお掃除をするのがオススメです。
花粉が“しがみつく”場所は要注意
【ファブリック製品・家具】
カーテンやソファ、ラグやマットでファブリック素材の製品や家具は、花粉や黄砂が蓄積しやすい場所のひとつです。テーブルなどのつるつるした面とは違い、ファブリック素材の表面は繊維で凸凹しているため花粉や黄砂がからまり、しがみついています。花粉や黄砂が多い時期はこまめな掃除が必要です。
【家電製品】
テレビやレコーダー、パソコン、電子レンジや冷蔵庫などの家電製品は、熱を放出するために空気を対流させます。その過程で細かなホコリがつきますが、当然ホコリにまざって花粉も付着しています。また、家電製品は電気を使用するため静電気を帯びやすく、花粉や黄砂もぴったりしがみつきやすい場所といえます。
見逃しがちな空調設備
【エアコン】
春になっても急に寒い日があったり、夏のように暑い日があったりするため、夏や冬のハイシーズンでなくても使う機会のあるエアコン。エアコンは、室内の空気を循環させて、冷やしたり暖めたり室温を快適に保ちます。よって、室内の空気が花粉や黄砂で汚染されていると、エアコンのフィルターやエアコン内部まで汚れがたまり、カビやニオイの原因となります。フィルターはこまめにお手入れし、手の届かない内部はプロの高圧洗浄でキレイにするのがおすすめです。
【空気清浄機】
室内の空気をキレイにする家電ですが、空気清浄機そのものが汚れないわけではありません。掃除機や洗濯機などと同様に、キレイにする家電本体が汚れたままでは、本来の機能を十分に発揮できないことがあります。
【換気口】
2003年7月以降に建てられた建物は、シックハウス対策として24時間換気システムなどの機械換気設備の設置が義務付けられています※。室内の様々な場所には、24時間換気システム用に「換気口」がついており、換気扇をつけたり、エアコンや空気清浄機など空気を循環させる家電をつけることで、換気口から外の空気を室内へ取り込みます。空気と一緒に、花粉や黄砂も入ってくるため、こちらも定期的なメンテナンスが必要です。
※出典:国土交通省「シックハウス対策について知っておこう。」
おススメの掃除方法
通常のお掃除では、「乾いた汚れは乾いたまま取り除く」これが基本です。
しかし、花粉や黄砂対策を重視する場合は、湿らせて掃除する「ウェット掃除」がおススメです。
玄関
【用意するもの】
・ホウキ
・古紙や新聞紙
玄関の汚れは、花粉や黄砂のほか主に砂・泥・ホコリなど、乾いた汚れです。この際に役立つのが古紙や新聞紙。ちぎった古紙または新聞紙を濡らして玄関に撒き、ホウキで履くだけ。しみ込んだ水分が、花粉や黄砂などホコリや汚れをキャッチしてくれるので、汚れを舞い上げずにお掃除することができます。ホウキのはき方は、奥(室内側)から外へ向かって掃きます。水分で紙が床に貼りついているので、小幅にちょこちょこと掃くとお掃除しやすいです。
網戸・窓サッシ
【用意するもの】
・タオル
・ナイロンタオル
・定規
①タオルとナイロンタオルは手のひら大のサイズにキレイにたたみ、水で濡らして固く絞ります。
②網戸の外側はナイロンタオル、室内側はタオルをあて、両手で挟んで拭いていきます。網戸は外側の方が汚れているため、ナイロンタオルの凹凸で網目についた汚れをかきだし、タオルはその汚れを受けて拭き取ります。両手は同時に動かして拭きます。
花粉や黄砂と一緒に汚れもこんなに。
③窓サッシは、定規に固く絞ったタオルを巻き付け、サッシの底に着くまで差し込み、定規を斜めにひねりながら拭いていきます。
網戸がきれいでも、サッシが汚れていれば窓を開け閉めするたびに、花粉や黄砂が室内に浮遊してしまいます。網戸を掃除するついでにサッシもお掃除しましょう。
ファブリック製品・家具
【カーテン】
カーテンは洗濯表示を確認して洗濯機で洗えるものは洗濯ネットに入れて2週間に1度丸洗いしましょう。すすぎの際には柔軟剤を入れることによって柔軟剤に含まれる静電気防止剤の働きによって花粉が付きにくくなる効果があります。
洗濯機で洗えないものは、ゆっくりと掃除機掛けをして、仕上げに市販の静電気防止剤または柔軟剤を水で薄めた物をスプレーすることで花粉の付着を防ぐことができます。
【ソファ】
ソファカバーはカーテン同様、洗濯表示を確認し洗濯機で洗える場合は丸洗いします。
ちなみに、ファブリックの家具は、花粉や黄砂をはじめ、食べかすや髪の毛、チリなどカビやダニのエサになる汚れが蓄積されやすいもの。プロのお掃除では、物理的に洗濯機では洗えないファブリックソファやイスを、専用の器材を使って水洗いします。洗剤と水を布に吹きかけながら、汚れもろとも水分も回収してお掃除します。
茶色っぽいのが吸い出された汚れ
家電
【用意するもの】
・タオルまたはキッチンペーパー
・ヘアコンディショナー
家電のお掃除手順
①家電製品は拭き掃除をします。水で濡らして固く絞ったタオルまたはキッチンペーパーで、花粉を舞い上げないようにそっと拭いていきます。
②乾いたタオルにヘアコンディショナーを少量垂らし、タオルを揉んで馴染ませます。家電製品の外側に薄く塗っていきます。コンディショナーに含まれる静電気防止剤が花粉やホコリなどをつきにくくします。※液晶画面には塗らないようにしてください。
エアコン
【用意するもの】
・掃除機
・古歯ブラシ
・タオル
・ゴミ取りネット(汚れが多い場合)
エアコンのお掃除手順
①エアコンのカバーを開き、掃除機のノズルで表面の花粉やホコリを吸い取ります。
②ホコリが落ちないように、フィルターをそっと外します。
③洗面所またはお風呂の排水口ゴミ受けにゴミ取りネットをかぶせます。こうしておくと、汚れが排水口につまらず、後片付けも捨てるだけなのでラクです。
④フィルターの裏側からシャワーをあてて汚れを落とします。油汚れなどで汚れている場合は、食器用中性洗剤をつけて古歯ブラシでやさしく擦ります。
⑤タオルドライでしっかりと水分をふき取り、元に戻します。
シーズンごとのお手入れ
フィルターをこまめにお掃除しても、花粉や黄砂、ホコリはフィルターの網をすりぬけて、エアコンの内部まで侵入していきます。エアコンを半年以上使用し、一度もプロの内部洗浄を行っていない場合は、エアコンを使用する前にお掃除しておくとよいでしょう。
写真はフィルターを外した状態のエアコンです。エアコンの内部は、細かな隙間や溝がたくさんあり、そこに花粉や黄砂、ホコリなどがひっかかって汚れていきます。さらに、それらの汚れをエサにしてカビが繁殖していきます。
プロのお掃除は、専用の高圧洗浄機を使用し、ブラシなどが届かない内部の奥まで洗浄します。水圧が強ければよいわけでなく、アルミを破損しないまた腐食しない洗浄方法を、汚れ具合などを見極め、洗剤の濃度や水圧を調整して洗浄していきます。
よく使用するエアコンは特に、シーズンごとのメンテナンスをおススメしています。
空気清浄機
【用意するもの】
・掃除機
・ブラシ
・タオル
・ヘアコンディショナー
空気清浄機のお掃除手順
①吸気口に花粉やホコリが多くついているため、取り外す前に掃除機で吸い取ります。
②取り外すことのできるパネル、フィルターを外して水洗いします。
※集塵(しゅうじん)フィルターなど水洗いできないものがあります。お掃除の前に、取扱説明書を確認してから行いましょう。
③タオルで水分をふき取り乾かします。
④乾いたタオルにヘアコンディショナーを少量つけ、揉みこんでなじませたもので、外側を拭き汚れの付着を予防します。
換気口
【用意するもの】
・雑巾
・ブラシ
・中性洗剤(汚れが強い場合)
・花粉フィルター(またはキッチン換気扇用の使い捨てフィルター)
換気口のお掃除手順
①換気口が外せる場合は、外してお掃除します。種類によっては壁紙とくっついて、外すと壁紙もはがれる場合があるため、その場合は無理に外さず表面のみ拭き掃除します。取扱説明書を確認してからお掃除してください。
②水で濡らして固く絞った雑巾で吸気口の周囲を拭き取ります。
③換気口が外せる場合は、つまみをひねって外します。
④隙間に残った汚れはブラシを使って水洗いします。キッチンに近い換気口や室内で喫煙している場合は、油汚れなどで汚れが頑固なことがあります。その場合は、中性洗剤を使用してお掃除します。
⑤乾拭きしたら、市販の花粉フィルターをとりつけて外からの花粉をガードします。花粉用のフィルターがない場合は、キッチン換気扇用の使い捨てフィルターを、換気口の内側の大きさに合わせてカットしたものを代用することもできます。
換気口が外せない場合は、拭き掃除をした後に、室内側に両面テープなどでフィルターを張りつけます。
まとめ
花粉や黄砂そのものが、どれだけ悪影響があるのかは個人差があります。ただ、黄砂や花粉の飛来時期に体調が悪くなる・不快な症状が出る場合には、注意して対策する必要があります。今回ご紹介したポイントは、すぐ簡単にできることばかりなので、ぜひ試してみてください。