カビ専門家に聞く!エアコンをつけると咳やくしゃみが出るのはなぜ!?
久しぶりにエアコンをつけると、なぜか咳やくしゃみが止まらないということはありませんか??
その原因を探るため、ひとに病気を起こすカビやその毒性などを研究している、千葉大学 真菌医学研究センター 准教授の矢口 貴志先生にインタビューをしました。菌とカビを研究して30年以上、テレビでも引っ張りだこの“カビ博士”です。
目次
家に生える「危険なカビ」があるって本当?
くらしスタイル研究員(以下「研究員」):「一般の住宅に発生するカビの中で、放っておくと危険なカビがあるというのは本当ですか?」
矢口先生 :「はい。特にアスペルギルス・フミガータスというカビは、一番ひとに対して感染力の強いカビといわれています。」
エアコンから採取したカビを培養して解説
矢口先生:「このカビが、そのアスペルギルス・フミガータスです。」
矢口先生:「アスペルギルス・フミガータスは、エアコンの中や、部屋の中で空気の淀んだ乾いたホコリの中にも生息しており、一般的にどの家庭でもいるカビです。」
研究員:「ぞっとしますね・・・。危険なカビということですが、ひとの身体にどんな影響があるんですか?」
矢口先生:「最初に考えられるのが呼吸器系のアレルギーです。免疫の落ちた方に対しては、呼吸器系にカビが感染してしまう場合があります。特に、免疫力の低い子どもや高齢者の方、肺炎やがんを患わっている方、アレルギーをお持ちの方、そのほか臓器移植の予定やアトピーなどで免疫抑制剤を飲んでいる方は注意が必要です。」
エアコンのカビを防ぐにはどうしたらいい?
研究員:「カビを防ぐ方法はありますか?」
矢口先生:「カビを完全に予防するということは不可能ですが、エアコンで冷房を使用した後にはエアコン内部をよく乾燥させることと、あとはフィルターなどの掃除をまめにすると、カビの育成を抑制することができます。
フィルターは2 週間に1回くらい。内部の乾燥はできれば使用した後に毎日行っていただきたいのですが、なかなかできないと思いますので、2~3日に1度送風運転でエアコン内部を乾かしてやることが必要となります。
カビが生育しやすい条件は、温度が20℃~30℃、湿度が60%を超える時期ですので、梅雨時はもちろんですが、9 月~10 月にかけての雨の多い時期にも注意が必要ですね。」
エアコンをつけたら…咳やくしゃみが出る!
研究員:「蒸し暑くなってきて、
矢口先生:「それはカビが原因の可能性があります。
そして、カビの胞子はホコリに付着してエアコンの吹き出し口から飛散します。一般的には、エアコンを10 分つけると1,000 個ぐらいのカビの胞子が吹き出すといわれています。」
※微粒子を可視化する特殊なライトを使用して撮影
研究員:「1,000 個のカビ胞子!?カビが生えてしまった場合どうしたらいいですか?」
矢口先生:「普段は、エアコンフィルターをこまめに掃除して予防しましょう。エアコン内部にカビが発生してしまったら、
カビ博士からアドバイス
矢口先生:「私たちの生活環境中から、カビをゼロにすることは基本的に無理です。我々はカビを吸うと、アレルギーなどの疾患になることがあるので、なるべくカビを吸わないようにする必要があります。カビはホコリと一緒に家の中に入ってきますので、なるべくホコリが入らないように気を付けましょう。
カビを予防するには、カビの生える条件である、温度・湿度・栄養源を取り除くことが必要になります。湿度を下げるには、換気が一番効果がありますし、カビはあらゆるものを栄養源としますので、ホコリをはじめとした汚れを取り除く掃除が必要になります。これらのことを注意して生活すれば、我々はあまりカビと接しない生活ができると思います。」
研究員:「カビ博士、ありがとうございました!」