水まわりのお掃除
浴室(風呂釜)追い焚き配管の洗浄が必要な理由とは?汚れの原因と清潔に保つコツを解説
浴槽のお湯を温め直すときにお湯が通る追い焚き配管は、日々の入浴で皮脂や水アカ、入浴剤の成分などの汚れが蓄積しやすい場所です。
追い焚き配管内部にたまった汚れを放置すると、雑菌が繁殖し異臭やヌメリの原因となるほか、健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
きれいなお湯で安心して入浴するには、追い焚き配管の定期的な掃除が欠かせません。
この記事では、追い焚き配管が汚れる原因と、配管内部を清潔に保つコツを解説します。
目 次
浴室の風呂釜・追い焚きの仕組みとは
浴槽のお湯を温め直す「風呂釜」や「追い焚き機能」には、「強制循環式(1つ穴タイプ)」と「自然循環式(2つ穴タイプ)」の2種類があります。いずれも「風呂釜」として同一視されがちですが、それぞれ異なる構造と仕組みになっています。
強制循環式(1つ穴タイプ)
強制循環式(1つ穴タイプ)は、浴槽の底近くに穴が一つ設置されたタイプです。
1台の給湯器で家全体のお湯を供給し、浴槽のお湯も同じ給湯器で追い焚きします。風呂釜と湯沸かし器の機能が統合されたガス給湯器や、オール電化に欠かせないエコキュートなど、近年、多くの住宅で採用されているのがこの強制循環式です。
浴槽にためたお湯を追い焚きするときは、浴槽内に設置された穴から吸い込まれたお湯が追い焚き配管を通り、給湯器で温められます。温まったお湯は再び追い焚き配管を通じて浴槽に戻されます。このように、1つの穴を介してお湯を吸い込んだり吐き出したりしながら温めるのが強制循環式の仕組みです。
強制循環式はポンプの力で勢いよくお湯を送り出すため、お湯が早く温まる特徴があります。
ただし、浴槽と給湯器を結ぶ追い焚き配管が長いため、配管内に汚れが付着しやすく、雑菌が繁殖しやすいという面もあります。
自然循環式(2つ穴タイプ)
自然循環式(2つ穴タイプ)は、浴槽の底近くに穴が2つ設置されているタイプです。
現在ではほとんど見かけなくなりましたが、古い住宅やアパートなどではまだ利用されています。
このタイプは給湯器とは別に、浴槽の近くに風呂釜が設置されています。浴槽に2つある穴のうち、下の穴から浴槽内のお湯を吸い込み、風呂釜で温めたあとに上の穴から浴槽に戻す仕組みです。
水の温度差によって起こる自然な対流によってお湯を循環させているため、強制循環式と比較するとお湯が浴槽に戻る速度が遅く、お湯全体が温まるまでに時間がかかる傾向にあります。
また、お湯が通る配管は短いものの、風呂釜に汚れがたまりやすいのも自然循環式の特徴です。
浴室(風呂釜)追い焚き配管が汚れる原因は?
浴槽の追い焚き配管は、汚れがたまりやすい場所です。
皮脂や水アカ、入浴剤など、毎日の入浴で発生するさまざまな汚れが追い焚き配管の内部に付着し、蓄積していきます。
定期的に掃除しなければ、追い焚き配管が詰まったり、衛生的な問題が生じたりするかもしれません。
ここでは、一般的なご家庭で使用されている「強制循環式(1つ穴タイプ)」の追い焚き配管が汚れる理由を解説します。
皮脂汚れ
追い焚き配管にたまる汚れのうち、代表的なものが入浴中に体から出る皮脂です。
水に溶けにくい性質を持つ皮脂は、追い焚き機能を使った際に配管の内部に付着し、時間がたつと固まってしまいます。配管内に皮脂汚れがたまると、皮脂を栄養源とする雑菌の繁殖が進むおそれもあります。
水アカや湯アカ
水道水には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が含まれています。これらの成分が追い焚き配管の内部に付着し、蓄積したものが水アカや湯アカです。蛇口周りや鏡などに付着していることの多い白い汚れと同じもので、一度固まってしまうと取り除くのが難しくなります。
入浴剤やバスソルト
入浴剤やバスソルトの成分も、追い焚き配管の内部を汚す原因の1つです。特に、硫黄成分を含むものやお湯を強酸性・強アルカリ性にする入浴剤を使うと、追い焚き配管の素材を傷め、劣化しやすくする可能性があります。
一晩放置された浴槽のお湯
一晩放置された浴槽の残り湯は、お湯を張った直後と比べて細菌の数が数千倍に増えているとされています。さらに、入浴した際に人の体から落ちた汚れも水中に混じっています。この状態で追い焚きして、追い焚き配管に多くの細菌や汚れが流れ込んでしまうことも、配管の内部が汚れる原因です。
浴室(風呂釜)追い焚き配管洗浄の頻度と汚れがたまっているサイン
追い焚き配管の内部に蓄積した汚れを放置すると、配管内部で雑菌が繁殖し、異臭やヌメリの発生につながります。このような事態を防ぐには、定期的に追い焚き配管を洗浄し、清潔な状態を保つことが大切です。
ここでは、追い焚き配管を洗浄する頻度の目安や、洗浄が必要な汚れのサインについて解説します。
浴室(風呂釜)追い焚き配管洗浄は1ヶ月に1回を目安に行う
皮脂汚れや水アカ、湯アカは、毎日の入浴で少しずつ追い焚き配管の内部にたまっていきます。
1ヶ月に1回は、専用のクリーナー(風呂釜洗浄剤)を使い追い焚き配管を洗浄しましょう。定期的な掃除で汚れがたまりすぎる前に取り除いておけば、追い焚き配管の内部を清潔に保てます。
今すぐ浴室(風呂釜)追い焚き配管洗浄が必要なサイン
追い焚き配管に汚れがたまっていると、いくつかのサインが現れます。
以下のような兆候が見られたら、すぐに追い焚き配管を洗浄してください。
お湯張りしたばかりの浴槽に汚れが浮いている
お湯を張ったばかりなのに、浴槽に汚れや不純物が浮かぶ場合があります。薄い膜状の汚れは「バイオフィルム」と呼ばれ、皮脂などの汚れを栄養にして細菌が繁殖してできたものです。衛生面でもよい状態とはいえないので、早めの対処がオススメです。
お湯の色が濁っている
お湯の透明度が低く、濁っている場合も注意が必要です。お湯はりや追い焚きの際に発生する気泡が原因の白い濁りであればしばらく待つと解消されますが、濁りが続く場合は追い焚き配管内部の汚れが原因と考えられます。
お湯が臭い
浴槽をきれいに掃除していてもお湯から異臭がする場合、配管内部にたまった汚れや雑菌、残留した入浴剤の成分が原因となっている可能性があります。
お湯にヌメリがある
入浴剤などを使用していないにもかかわらず、お湯にヌメリがあると感じられる場合、雑菌が繁殖してバイオフィルムが形成されている状態かもしれません。健康に悪影響を及ぼすおそれがあるため、速やかな追い焚き配管の洗浄が必要です。
水の流れが悪い
お湯の吸い込みや吐き出しの際に水圧が弱まったり、異音がしたりする場合は、配管内部にたまった汚れで詰まっているかもしれません。放置すると追い焚き配管の劣化につながるため、早めに洗浄しましょう。洗浄しても改善しない場合は給湯器の故障が考えられるので、専門業者やメーカーに相談することをオススメします。
浴室(風呂釜)追い焚き配管の洗浄方法
追い焚き配管の洗浄は、浴槽を清潔に保ち、快適に入浴できる環境を作るために大切です。
ここでは、一般的な強制循環式(1つ穴タイプ)の追い焚き配管の洗浄に必要な掃除道具と、具体的な掃除手順を解説します。
用意するもの
- 追い焚き配管専用の洗浄剤(1つ穴用)
- 浴室用洗剤
- スポンジやブラシ
- ゴム手袋
強制循環式(1つ穴タイプ)の追い焚き配管洗浄方法
追い焚き配管の洗浄は、追い焚き機能を利用して行います。
作業する際にはゴム手袋を着用し、入浴剤が入った残り湯は使わないようにしてください。
①循環口のフィルターを取り外します。
②循環口の穴の上部から5cmほど上の深さまでお湯を張ります。お湯の温度は約40℃が適切です。
③洗浄剤を浴槽に投入します。
④3分ほど追い焚きを行い、洗浄剤を配管内部に行き渡らせます。
⑤10分ほど浸け置きして汚れが溶け出したら、お湯を抜いてください。
⑥新しいお湯に張り替え、再度5分ほど追い焚きして配管内をすすぎます。
⑦再びお湯を抜いたら、浴槽内に付着した汚れをシャワーで洗い流してください。
⑧取り外した循環口のフィルターをブラシで掃除して、もとに戻します。
⑨念のため、浴槽も浴室用洗剤とスポンジで掃除して、お湯を抜く際に付着した汚れを落としておきましょう。
なお、使用する洗浄剤の種類により、追い焚きする時間や浸け置き時間が異なります。必ず洗浄剤に記載されている使用方法に従い、指示された量や時間を守って作業してください。
市販の洗浄剤で汚れが取れないときの対処方法
追い焚き配管の汚れがひどいと、ご家庭での洗浄では落としきれない頑固な汚れが配管の内部にこびりついてしまうことがあります。
特に、黒い粒のような汚れや緑色の汚れが出てくる場合は、追い焚き配管の内部でカビや藻が繁殖しているかもしれません。こうした汚れは市販の風呂釜洗浄剤だけでは対応が難しく、専門業者による洗浄が必要です。
ここでは、市販の洗浄剤で追い焚き配管内部の汚れが落とせない場合の対処法をご紹介します。
専門業者に追い焚き配管の洗浄を依頼する
市販の洗浄剤を使って追い焚き配管の内部を洗浄しても汚れやヌメリが残る場合や、異臭が改善されない場合は、専門の業者に依頼しましょう。専門業者は専用の機材や薬剤を使い、ご家庭での掃除では洗浄しきれない追い焚き配管の奥までしっかりと洗浄してくれます。
配管内部の汚れを取り除き、清潔なお湯で入浴できるようになるため、健康面でも安心です。
追い焚き配管を交換する
追い焚き配管が古くなり、掃除しても十分な効果が得られないときや、修理費用がかさむ場合は、配管の交換を検討する必要があります。
特に追い焚き配管が劣化している場合や、詰まりが頻発する状況であれば、新しい配管に交換することをオススメします。
浴室(風呂釜)追い焚き配管の汚れを放置するリスク
追い焚き配管内部の定期的な洗浄を怠ると、さまざまな問題が発生するリスクがあります。
配管内部に蓄積した汚れにより配管の劣化が早まるだけでなく、カビや雑菌が繁殖した結果、健康にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
ここでは、長期にわたり追い焚き配管内部の汚れを放置した場合に考えられるリスクについて、詳しく解説します。
雑菌やカビが繁殖する
毎日お湯が通る追い焚き配管の内部は、カビや雑菌が好む高温多湿な状態になりやすい場所です。配管内部に皮脂や水アカが蓄積すると、それらの汚れを養分にしてカビや雑菌が繁殖するのに絶好な環境が生まれてしまいます。
繁殖したカビや雑菌が追い焚きしたお湯に混入すると、入浴後の肌トラブルや健康被害を引き起こす可能性があります。ご家庭に免疫力の低い乳幼児や高齢者がいる場合は、特に注意が必要です。
汚れたお湯が出てくる
追い焚き配管の内部がひどく汚れていると、お湯を張る際に配管内の汚れがお湯に混ざり込み、透明度が低く汚れたお湯が流れ出ることがあります。見た目だけでなくヌメリや悪臭を伴うお湯が出ることもあり、速やかに洗浄する必要があります。
追い焚き配管が詰まり、水漏れのリスクが増す
追い焚き配管の内部で詰まりが発生する原因の多くは、たまりすぎた汚れです。蓄積した汚れで配管が詰まると、お湯を効率よく循環できなくなり、温まりにくくなる可能性があります。また、配管が劣化しやすくなるので、水漏れを引き起こすことも考えられます。
追い焚き配管が劣化し故障しやすくなる
追い焚き配管の内部を長期間掃除しないでいると、蓄積した汚れの影響で配管が劣化し、故障しやすくなります。故障してしまうと、高額な修理費用が必要になるかもしれません。定期的なメンテナンスを行い汚れを取り除くことで、配管の寿命を延ばし故障を未然に防げます。
浴室(風呂釜)追い焚き配管の汚れを予防する方法
浴室の追い焚き配管は、使い方を工夫することで汚れの蓄積を軽減できます。毎日のちょっとした習慣が、掃除にかかる手間を減らし、追い焚き配管を清潔に保つことにつながるのです。
ここでは、追い焚き配管の汚れを予防するのに効果的な方法をご紹介します。
入浴前にシャワーを浴びる
入浴の際、シャワーで体を洗い、皮脂や汗などを落としてから浴槽に浸かりましょう。あらかじめ体の汚れを落としておくことで、浴槽や追い焚き配管に汚れがたまりにくくなります。
入浴後は残り湯をすぐに排水する
入浴後の残り湯には皮脂や入浴剤の成分が多く含まれており、一晩放置すると細菌も繁殖しやすくなります。入浴後はできるだけ早く残り湯を排水して、汚れや細菌が追い焚き配管の内部に残らないようにしましょう。
定期的に浴室(風呂釜)追い焚き配管を洗浄する
月に1回を目安に、追い焚き配管専用のクリーナーで洗浄することをオススメします。特に、追い焚き機能を頻繁に使用する場合、追い焚き配管の内部に皮脂や水アカなどの汚れがたまりやすいため、定期的な掃除で汚れを取り除くことが大切です。
おそうじ本舗の浴室(風呂釜)の追い焚き配管除菌クリーニング(※1)
追い焚き配管に溜まった汚れが気になる、または自分での洗浄が難しいと感じる場合は、専門業者にクリーニングを依頼するのがオススメです。
おそうじ本舗の「浴室(風呂釜)の追い焚き配管除菌クリーニング(※1)」なら、追い焚き配管内部にたまった汚れや雑菌を徹底的に浮かせて落とします(※2)。
市販の洗浄剤では取りきれない頑固な汚れも、専用の機材と洗剤で一網打尽に。
しかも、独自のファインバブル技術を使って、給湯器に負担をかけずに洗浄するので、機器を傷める心配もありません。
また、洗浄の前後に検査キットで汚れの測定を行うので、クリーニング効果をすぐに実感できます。
おそうじ本舗の「浴室(風呂釜)の追い焚き配管除菌クリーニング(※1)」で配管内部を清潔に保ち、快適な入浴時間を維持しましょう。
(※1)全ての菌を除去するものではありません。
(※2)汚れの状況により、完全に除去できない場合がございます。
この記事の監修者
ハウスクリーニング商品開発尾崎 真
おそうじ本舗の商品・サービス開発責任者を務め、国家資格であるハウスクリーニング技能士。 住まいのお掃除のコツや、暮らしに関するテクニックなど、お家で役立つ情報について満足していただける内容の改修を行っています。
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