エアコンのお掃除
エアコンのカビ取り・カビ対策!どのシーズンでエアコンクリーニングが必要?
夏の暑い時期に冷房を、冬の寒い時期には暖房をたくさん使用するエアコン。
エアコンは使ったらどうしても内部が汚れていくものなので、こまめに掃除をした方がいいとは思いつつ、ついついタイミングを逃してしまうものですよね。
夏の間、冷房でたくさん使用したエアコンも、気温が落ち着く秋の間はしばらく使わなくなり一休み期間に入ります。そして冬にはまた毎日のように暖房でエアコンを使用することになります。
そういったサイクルで久しぶりにエアコンを動かすとき、実はエアコン内はカビによって汚れてしまっているかもしれません。今回は、1年間の中でのエアコンのカビ汚れ事情と、カビ取り・カビ対策のやり方、タイミングについてご紹介していきます。
目 次
エアコンのカビ事情を紹介!内部はカビ取り、カビ対策が必要?
カビが発生する環境は?気温、湿度、室内の状態について
カビは部屋中の様々な場所で発生してしまうものなので、ともすれば仕方がないものと諦めがちですが、増殖するうちに中には健康に影響する物質を含んでいる場合があります。まずはエアコン内にカビが繁殖してしまう理由をカビの特徴から解説します。
カビが好む環境:室温20〜30℃、高い湿度
カビは、最初は人の目には見えない胞子の状態で空気中に漂っています。周囲の気温が5℃以上あれば繁殖するようになり、特にカビが好むとされている20℃〜30℃で大幅に増殖する傾向があります。
またカビが繁殖するには空気中の水分が必要となるため、湿度の高い環境を好みます。衛生微生物研究センターが紹介するカビの発育条件としては80%以上、対して一般的に室内の湿度はお風呂場を除くと30%〜80%とのことです。そうなると室内ではカビの繁殖はしにくいと考えられますが、カビは建材などの表面の水分に胞子が付着することで繁殖します。ですので室内で水滴が付着した箇所があればカビの繁殖場所となってしまうのです。
出典:株式会社 衛生微生物研究センター
微生物の基礎知識 カビQ&A「Q5.カビの発生と室内湿度」
https://kabi.co.jp/kabi-q-and-a/
部屋内のホコリや汚れの中のたんぱく質がフィルターに集積、カビのエサに
カビが部屋の中のあらゆる場所に発生・増殖してしまうのは、カビにとっての快適な室温と湿度の条件がそろって、その場にあるホコリや汚れの中に含まれるたんぱく質をエサにしているからです。
エアコンですと空気中のホコリが内部に入り込むことを防ぐためのフィルター部分などは、しばらく使用しているとどうしてもホコリがたまってしまうため、カビの発生箇所となりやすいです。
夏前のエアコン内部に要注意!カビが増えているタイミングかも
カビは湿度が高い環境を好むとご紹介しましたが、日本の梅雨時期は月の平均湿度が70%〜80%となり、季節的にカビが増えやすい時期がどうしてもきてしまいます。例えば、気象庁による2021年の東京の平均湿度は、5月から8月にかけて70%台を超えています。
出典:気象庁ホームページ
東京 2021年(月ごとの値) 詳細(気温・蒸気圧・湿度)
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2021&month=&day=&view=a2
このカビにとっていい育成条件の湿度の中で、エアコン内にカビが繁殖している場合、増殖していく恐れがあります。そのまま夏場の暑い時期にエアコンで冷房を使用すると、室内の温度は快適となってもその風にはカビが混じっている事になります。そうなる前にエアコンクリーニングをしておくことをおすすめします。
夏・梅雨前に家庭でできるエアコンのカビ対策方法
では、湿度が高くなる季節の前にできるカビ対策方法をご紹介します。この時期のカビ対策のポイントとしては、『エアコン内の湿度をコントロールする』ことです。部屋内の除湿を心がけることで、カビが繁殖しにくい環境にして保っていく事が大切です。
まずエアコンの冷房機能もしくは除湿モードで運転を行います。そして30分以上「送風運転」モードで稼働させてください。これでエアコン内の湿度を下げることができます。
「内部クリーン」機能のあるエアコンですと、冷房・除湿機能の使用後に自動的にエアコン内の湿度を下げてくれるので、活用してカビの繁殖を抑えましょう。
エアコン内部でカビが繁殖?夏場の冷房〜秋の影響とは
夏に多用する冷房でエアコン内はカビができやすい環境に
室温・湿度・エサとなるホコリといった条件がそろいやすい室内はカビにとって繁殖しやすい環境であることをご紹介しました。それはエアコン内部も同様です。夏場にエアコンで冷房を使用し頻繁に運転すると、温度の高い状態の室温(気温)とエアコン内で冷やされた風とで温度差が発生し、その結果エアコンの内部に結露ができ、室温と多湿の条件がそろうことでカビが繁殖しやすくなります。
気温が下がる秋はエアコン内部ではカビが繁殖しやすくなる
真夏日・猛暑日が続くようになると、カビにとっては高温すぎて繁殖力がさがることになります。先ほどご紹介したように夏場のエアコン内の結露状態でカビが発生していたら、季節が秋になり気温が落ち着き、20℃〜30℃ほどになるタイミングでカビの繁殖力が高まりだします。
夏場の室内を冷やして快適にするため冷房を使用していることと、過ごしやすい秋の間はエアコンをあまり使用しなくなるというごく自然な流れの中で、実はエアコン内ではカビが育ってしまっているかもしれないのです。
冬のエアコン、暖房をかければカビ取りできる?カビ対策にはならないケースとは
では、冬の時期はどうでしょうか。エアコンの暖房を頻繁に使用することで室内は乾燥状態を招きやすくなります。同様にエアコン内部もカビにとって必要な湿度にはならないので、発生・増殖しにくい環境になり、カビ対策となると考えられるのでしょうか?
実は、残念ながら暖房ではカビ取り・カビ対策は行えないといえます。その理由をご紹介していきます。
夏から秋の間にカビが繁殖していたら暖房・送風ではカビ取りの効果が期待しにくい
湿度が低い冬にエアコンで暖房を使用すると、空気中の水分量はそのままに温度だけが高くなるので乾燥していくことになります。湿度が低いことはカビ対策には有効かと思いがちですが、もしすでにエアコン内にカビが繁殖している場合、その胞子は死滅せず残っている可能性が高く、つまり暖房でエアコン内が綺麗にはならないのです。
文部科学省がカビ対策のために調査した内容によると、カビの死滅温度は種類により50℃〜80℃、乾燥状態では120℃と、かなりの高温状態が必要であることがわかっています。
ですのでエアコンの暖房の温度をあげたとしても、カビ取り・カビ対策の効果は期待しにくいということになります。
出典:文部科学省 カビ対策マニュアル基礎編
「表3 微生物の生育可能温度領域と最適生育温度」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm
「乾燥=カビがいない」は勘違い?冬でも室内でカビは生存しているかも
冬場は気温・湿度ともに低い季節なので、カビにとっては繁殖しにくい状態と考えられます。空気も乾燥しているので水分が必要なカビは育ちにくくなりますが、もしすでに夏の間にカビが繁殖してしまっている場合、繁殖にとっては厳しい環境でも、生存はできる状態です。ですので、エアコン内部についても一度カビ取り・カビ対策が必要となります。
我が家のエアコンは大丈夫?カビ対策が必要かチェック
エアコン内部にカビが繁殖していて、カビ取り・カビ対策が必要だと判断するにはどうしたらいいのでしょうか。簡単にチェックするには、エアコンの吹き出し口を確認してみて、黒い点状の模様ができていたらそれはおそらくカビと判断できます。吹き出し口ですでにカビが確認できる場合は、エアコンの内部でもカビが繁殖している可能性が高いです。もしカビを見つけた場合は、暖房を使用する前にカビ取りすることをおすすめします。
エアコンのカビ取り方法!自分でできるやりかたとは?
ご自身で行えるカビ取りの方法をご紹介します。エアコンのカビ取りを行う前には、感電の防止の為コンセントは抜いた状態で作業を行なってください。
フィルターのお手入れでホコリを取り除く
まず、エアコンのフィルターからカビのエサとなるホコリや汚れを取り除きます。エアコンにつけたままの状態で、掃除機で軽くフィルターとその周辺のホコリを吸い取りましょう。全体的に軽く、吸える範囲でかまいません。
次にフィルターをエアコンから取り外し、ホコリの付着量が多い表面から掃除機をかけ、続けて裏面からも掃除機でホコリを取ります。
掃除機だけでは綺麗にできない細かいホコリは、シャワーをかけて水洗いします。落ちない汚れがある場合は、中性洗剤を薄めてフィルターが傷まないようにやわらかいブラシで洗いましょう。
洗い終わったフィルターは乾いたタオルでやさしく水分を拭き取る・日陰で干すなどで乾かしてからエアコンに戻しましょう。
エアコンのルーバー・吹き出し口にカビを見つけたら薄めた中性洗剤で拭き取り
風向きルーバーと吹き出し口にもカビが繁殖している場合があります。この部分にカビがあるとエアコン使用時に飛散の原因になるので、中性洗剤をつけて絞ったタオルで丁寧に拭き取りましょう、洗剤を使用するので必ず二度拭きを行うようにしてください。
風向きルーバーは拭きやすいように手で回すのは大丈夫ですが、取り外すと故障の原因になる場合もあるのでご注意ください。高い位置での作業になるので、転倒などないよう十分に足元に配慮して掃除を行ってください。
自己流がNGなお掃除方法とは?エアコン内部の洗浄はご注意を
エアコンのフィルター、風向きルーバー、吹き出し口はご自身でもおそうじが可能ですが、さらに内部を洗浄してカビ取りを行うと、たとえば市販の洗浄スプレーを使用したり、もう少し分解してみようとするのは危険性が高いです。スプレーによる洗剤残りが起きたり、分解しての掃除で電気部品に洗浄液がかかったりすることは、故障の原因になりかねません。エアコン内部までしっかりカビ取り・カビ防止を行いたい場合は専門業者のクリーニングを依頼されることをおすすめします。
綺麗にしたらカビ対策!エアコン内部を十分に乾燥させる
エアコンの掃除が終わった後に、今後のカビ防止のために大事なポイントがあります。エアコン内を十分に乾燥させてカビの繁殖しにくい環境を作りましょう。
具体的な方法としてはエアコンの内部クリーン機能や内部乾燥運転を行い、送風運転を1時間程度実施してください。
エアコン内部のカビ取りは自力では困難!プロのエアコンクリーニングが必要
思わぬエアコン故障を招く心配がなくなる
先ほどもご紹介したように、ご自身でエアコンのカビ取り・カビ防止を行おうとした場合、エアコン内部まで綺麗にしたいものです。ですがエアコンの内部構造やクリーニング方法の知識がない状態では十分なカビ取りは行なえず、ともすると故障の原因となりかねないためおすすめができません。
徹底的に綺麗にするならプロにエアコンクリーニングをしてもらおう
エアコンの知識とクリーニングの経験が豊富なプロにエアコンクリーニングを依頼すると、適材適所な洗剤と洗浄方法で的確にカビ取り・カビ防止の処置を行ってくれます。
またエアコンクリーニングのプロが行う高圧洗浄で洗浄する方が、市販の洗浄スプレーより洗浄力は高く確実に綺麗になります。
エアコンのカビ取り・カビ対策!エアコンクリーニングがおすすめなタイミングとは
エアコンを頻繁に使う季節ごとの内部のカビ事情、ご自身で行えるカビ対策の方法、徹底したカビ取りをするにはプロのエアコンクリーニングがおすすめであることをご紹介しました。
では、エアコンのカビ取り、カビ対策のおすすめなタイミングとしてはいつ頃が最適でしょうか。
ポイントとしてはカビが増殖する前のタイミング、夏場の冷房使用・冬場の暖房使用でエアコンを毎日稼働させる前にプロにエアコンクリーニングを依頼する事がおすすめです。
【4月〜5月】梅雨前にカビ対策をして夏場に快適に冷房使用
まずは本格的な夏を迎えて冷房を使用する前にエアコンクリーニングすることがおすすめです。ただ梅雨の時期はすでにカビの増殖タイミングであること、エアコンクリーニングの依頼が大変混みやすい時期でもあるので、4月から5月にかけての春頃にクリーニングをして清潔な状態にしておくことがおすすめです。
【9月〜10月】冬前にエアコン内部を綺麗にして暖房使用
エアコンの暖房機能は、冷房と違って運転時にエアコン内部に水分がたまる構造ではないため、本格的に寒くなる前のタイミングで内部までエアコンクリーニングをしておくと年間を通して考えた場合に比較的エアコン内部がきれいな状態で長持ちできることになります。
ですので夏〜秋の間にカビが発生している場合、冬のエアコンクリーニングでしっかりお掃除することがおすすめです。
「年末の大掃除で」は大変!タイミングを分散して自宅のエアコンメンテナンスを
室内の大がかりな掃除は、年末の大掃除のタイミングで行う方が多いのではないでしょうか。エアコンクリーニングもそのタイミングでプロに依頼をしたいと考えてしまうものですよね。ただ同様に考えるご家庭が多くなるため、どうしても年末はクリーニングの依頼が多くなり思うようなスケジュールでエアコンのカビ取り・カビ防止が叶わないかもしれません。
そういった場合、9月〜11月はエアコンクリーニングを依頼する狙い目のタイミングです。そこでプロにクリーニングを依頼されることをおすすめします。
この記事の監修者
ハウスクリーニング商品開発尾崎 真
おそうじ本舗の商品・サービス開発責任者を務め、国家資格であるハウスクリーニング技能士。 住まいのお掃除のコツや、暮らしに関するテクニックなど、お家で役立つ情報について満足していただける内容の改修を行っています。
おそうじ本舗 自分でできるお掃除術 監修者について